子供の安全管理とアクティブタグの関係について

「雑種路線でいこう」の子供の安全より補助金と露出が大事な自治体や学校って何という記事を読んだ。話のポイントは、「子供の登下校管理にアクティブタグが使うのは無駄だ」という意見と、「アクティブタグを使った安全管理は補助金を受けるネタにしやすく、メディア露出のネタにもなるからと安易に判断している学校には呆れる」といった批判のようである。ただ、この理論には少し疑問を感じるところがあるので記事を起こした。
「子供の登下校管理にアクティブタグが使うのは無駄だ」ということについては、アクティブタグより良い方法があるのだからアクティブタグを使うのは無駄だと指摘されている。しかし、これはそう簡単な話ではないはずだ。
私個人の話になるが、今から3年程前に仕事でアクティブタグを使った商売を模索をしていたことがあった。その中で、「小学生の登下校管理」というテーマについても、当時のビジネスについてリサーチもしていた。結局、自分の手で仕事にすることはなかったんだけど。

これは、その時にリサーチしたことで、どこかの小学校で登下校監視のシステムを構築しようとした話。

子供の登下校監視とは、「子供が自宅を出てから無事に学校に到着したのか」、「子供が学校を出発して無事に帰宅できたのか」を管理することが目的となる。そのためには、校門を通過したことを管理することが一番重要になってくる。そこで、建物・敷地内に入る入出者を管理することを考えたときに、「鍵となるカードを個人に持たせて、ゲートを通る時に検出させる方法」が簡単に検討できるのだけど、それができない理由があった。それは『小学校だから』ということである。これが企業の入出者管理であればなんら問題なかったわけだけど、小学校という在り方には相応しくないという学校側からの意見であった。学校なのだから、校門を自然と通り抜けることが重要視されたのだ。その要望に応えるためにはアクティブタグしかなかったのだ。

上記の話も元記事を紛失している今となっては証明しようもないのだけど、少なくとも4,5年前の話である。
他にも、こんな話は珍しくもなんともなくて、「子供の登下校監視」は常に市場に要望されている。特に、地方は過疎化が進んで、民家の立地間隔があまりにも広いがために子供が悲鳴を挙げても防犯ベルを鳴らしたとしても、その音が聞こえる範囲に誰も人が居ないなんてことがある。技術躍進を悠長に待っていられないのが現状である。
それでも今だに「小学校の登下校監視」はビジネスとして広がりを見せることなく、あまり普及もしていない。理由は至極単純な話で、あまりにもコスト高になるからである。たとえそれが、アクティブタグを使おうが、専用の携帯端末を使おうが、既存の携帯電話端末に載せることができるシステムであろうが、小学校という規模ではやっていけないのだ。コストに似合う技術が無いのだから。

ここで、例えばの具体的例としてトラックバック先の記事を引用させてもらうと、

登下校監視だけなら監視カメラ+顔認証で充分だし、下校中の位置監視や誘拐時の対応をしようとすると携帯電話の方がずっと有用で副作用もないのです。まだ子供に携帯を持たせたくなければ、機能を制限するなり携帯電話技術を利用した廉価な位置特定端末をつくればいい訳で。

こんなことが地方の小学校で実現できるのかというと、技術的にもビジネスとしても実現できないだろう。というか、できるならもう誰かがやっている。というか、私がやっていただろう。そんな市場です。
この市場背景を基にして、子供の安全に正しい議論がとか、無駄に税金がとかはなかなか言っていられないのです。